漢方薬相談ブログ

「よく効く漢方薬」は同時に副作用で「毒」にもなります

「よく効く漢方薬」は同時に副作用で「毒」にもなります

  1. 病院の薬は根本治療からみれば悪魔の契約
  2. 漢方の陰陽という考え方
  3. 「治るか、治らないか」に関わる陰陽という法則

漢方薬は、穏やかな効果のものだけでなく、中には速攻で強く効くものもあります。

薬というと、「効果が強いもの」「効果が高いもの」が良いと考える人も多いと思います。

効果が穏やかだと治らなさそうですね。

でも、漢方薬で根本から治していきたいと思うのであれば、漢方薬の効果が高かったり、強い効果のものは、あまり良いとは言えません。

漢方の根本的治療や体質改善の真髄というのは、効果の高さではないのですね。

今回は、病院の薬とは、実は効果の考え方が全く違う漢方薬の効果と副作用の怖さをお話ししたいと思います。

漢方薬は、体質に合わせて選ぶものですが、病院などで、病名や症状から選んでもらっている人は、あなたの体質とは関係なく選んでいることが多いので、かなりのリスクもあります。

そんな方にはぜひ、読んでいただけたらと思います。

病院の薬は根本治療からみれば悪魔の契約

「薬の効果が強ければ治りやすい」という考えは、病院の薬のように『一時的に症状さえ抑えればいい』という治療であれば、非常に良いことです。

体内のバランスなんか関係なく、化学薬品の力で、強引に症状を抑えにいくわけですから、ごまかす力強引な力は、強いほどいいわけです。

例えば、アトピー性皮膚炎に使うステロイド剤は、効果が強ければ、強いほど、湿疹やかゆみを抑える力が強くなります。

ところが、ステロイドには副作用があります。

副作用というか、ステロイドが本来、持っている、もう一つの作用といったほうがわかりやすいですが、かゆみ自体は、ステロイドの炎症、免疫反応を強制的に抑えることによって、抑えられます。

そして、炎症や免疫反応というのは、本来、身体を病気から守る為の人間のバリアーでもあります。

つまり、効果が強いステロイド剤は、自分自身の免疫力を抑える力が強くなりますので、かゆみを抑える力が強いほど、同時に菌やウィルス、何らかの異物から守るバリアーの力が抑えられて、病気になりやすくなるということです。

悪魔の契約みたいなものですね。

『かゆみは止めてやるが、ウィルスや菌からの病気にはかかりやすくなるが、それでいいか?』

悪魔だったら、こんな感じで問いかけるでしょうから、「なんとなくステロイドを続ければ、根本的に治るかのような嘘のイメージを醸し出している皮膚科の医者」よりも、ハッキリと言ってくれる悪魔の方がいくらか良心的かもしれません。

なので、長期間、ステロイドを使っている人は、風邪をひきやすかったり、腸炎などで軟便や下痢になりやすかったり、元のアトピーの湿疹に加えて、ステロイド剤が原因じゃないかと考えられる、菌が原因の湿疹が増えたりと、「最初の湿疹状態よりもひどくなってるんじゃないか?」みたいなことになっていることがよくあります。

なので残念ながら、『効果が強い』『より治りやすい』とはならないのですね。

効果というのは、別に良いとは限らず、あくまで『人間の身体に与える変化』であって、『自分にとって都合の良さそうな部分の効果だけが高い』のではありません。

ステロイドのように、『かゆみを止める効果が高ければ、高いほど、免疫は抑えられて、体は弱って病気になる可能性が高くなる』とう状況に陥っていきます。

だったら、漢方薬は自然のものだから、副作用なくお得ですよね!と思われるかもしれません。

はい、そんなことも一切、ありません!

漢方薬も、そんな都合の良いものではないのです。

でも、漢方には、それをフォローする、すごい考え方があるのです。

漢方の陰陽という考え方

漢方に「附子」という生薬があります。

真附湯という漢方薬に含まれていたりするのですが、トリカブトと言えばわかりやすいですね。

昔、毒殺事件に使われた『猛毒』です。

でも、これ漢方薬の生薬の1つなのです。

「なんで、毒なんか、飲ませるの?」と思われるかもしれませんが、漢方の世界では、基本的な考えに「こっちは良い効果」とか「あっちは悪い効果」なんて考えはありません。

西洋医学では、頭痛の痛みを抑えてくれれば、良い効果と考えがちですが、症状は、そもそも何かの原因を知らせるための警告サインでしかないので、根本治療から見れば、痛みを抑えることが、かならずしも良い効果とは限りません。

例えば、漢方的に分析した時に、頭痛の原因が、血の巡りの悪さであったとしても、鎮痛剤は、血の巡りの悪さを知らせるために発生しているサインである痛みだけを抑えるだけ。

肝心の頭痛の真の原因である、血の巡りの悪さには、何の効果も及ぼしません。

つまり、治しません。

『どんな薬も良い面もあるし、悪い面もある』というのが、漢方の陰陽の考え方です。

トリカブトである附子は、猛毒ですが、強烈な鎮痛効果と強烈に温める力があります。

こういった性質なので、弱りきって、体力がなく自分で熱を生み出せない人、強烈に痛みがひどい人には、とても良い薬になります。

ところが、ところが、そこまで冷えが強くない人はどうなるでしょうか?

トリカブトは、猛毒だけに単に「温める」のではなく強烈に温める効果があります。

こうなると、強烈に冷えていない人は、余分な熱がこもります。

不要な熱のせいで、のぼせてぼーっとします。

下手したら鼻血がでます。

体質によっては、激烈な頭痛が発生します。

痛みもそこまで、酷くなければ、関係ないところがシビレ始めます。

何せ猛毒に変わりはないですから。

例えば、トリカブトの温める効果が、「温める効果+10」だとした場合、「体が冷え-5」の人に飲んでもらった場合、「+5」熱が増えますので、その分の熱が、のぼせや頭痛などの悪さをするわけです。

漢方薬の治療の大原則は、プラスマイナスゼロのバランスの取れた状態にすることが根本治療なのです。

本来の漢方理論から考えたら、『冷え性があるから』とか、『痛みがあるから』などの『単に症状だけ』を当てはめて真附湯を処方することなんてありえません

しつこいですが、何せ猛毒ですから。

「その人の冷えがどの程度のレベルなのか?」

「その人の痛みがどの程度のレベルなのか?」

それを細かく詳細に分析して、その人の体質に合わせて、強烈に温めてはいけない場合は、ソコソコ温め、痛みがソコソコなら、ソコソコ痛みを止めてくれる漢方薬を選びます。

『効果が最強そうだから、猛毒のトリカブトの入ってる真附湯にしました!てへ!』って、そんな単純すぎる考えでは漢方薬は扱えないのですね。

漢方の医学理論のすごいところは、最初から薬のよい効果と悪い効果の両方を考えていることなのです。

「治るか、治らないか」に関わる陰陽という法則

漢方の治療原則で最も重要なのが、陰陽という考え方です。

「光が明るければ、明るいほど、影が暗くなる」

これは避けようのない地球の法則です。

漢方薬は、体質と選ぶ漢方薬の両方の陰陽を考えて処方します。

ちょっと宗教チックに感じてしまうかもしれないですが、ステロイドの効果と副作用にあったように、一方的に都合のよい話は、西洋医学の世界でもないのです。

体質は、人によって『体が冷えているので、温めることが治療となる人』もいれば、僕のように『常に余分な熱が発生して、不用な熱を冷やすことが治療となる人』もいます。

体が冷えている体質の人にとっては、「温める漢方薬」は、効果の高い薬となりますが、僕のような熱がこもるタイプには、「温める漢方薬」は、熱のこもりをひどくする効果なので、そのままとなります。

これが、漢方薬の副作用です。

つまり、良い効果だと思っている漢方薬も、体質が違えば、副作用を起こす悪い効果の漢方薬になるわけです。

薬としての効果が高いかどうかよりも、『自分の体質に合っているかどうか?』が重要なのですね。

なので、医者がやっているような、体質も分析しないで「アトピー」とか「冷え性」という病名や1、2個の症状だけで、漢方薬を選ぶことなんて、本来の漢方を知っている人間からしたら、狂気の沙汰です。

ちなみに、実際の人の体質は、「冷えている人」とか「熱がこもっている人」なんて、「どっちか」みたいな単純ではありません。

今回は、解説上、単純にしましたが、実際は『上半身は熱がこもって、手足と胃腸は冷えて、大腸は熱がある』とか、『皮膚表面は乾燥しているけれど、足はむくみ、体には不用な水が溜まっている」など、「冷えているし、熱がこもっているし」とか、「乾燥しているけど、水が多すぎる」みたいな、ものすごく複雑な状態なのです。

そんな、ややこしい、その人独自の体質に対して、『どんな性質に合わせて、どれくらいの強さの薬だったら合うのか』を組み立てながら、考えるのが漢方治療なのですね。

効果が強そうな漢方薬効果が高そうな漢方薬なんていうのは、結局、合わなければ漢方ではちっとも良くない副作用の強い薬なのです。

『症状が抑えられたから効いた!』みたいな病院の薬のように単純ではないのです。

当店では、人それぞれの体質を分析して、その人独自の原因に合わせて漢方薬をお選びします。

ご希望の方は、概要欄にネット相談や店頭相談の予約カレンダーを貼ってありますので、ご相談ください。

あなたの現在の体質や原因を判断して、治療方針をご提案いたします。

相談は無料です。

●アトピーや蕁麻疹、アレルギー体質で、お悩みの方は、こちらの「漢方無料相談」から送信してください。

●お問い合わせは、こちらから送信してください。

●店頭相談のご予約は、こちらから、ご予約ください。(店頭も初回の相談は無料です)

【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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