漢方薬相談ブログ

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健康診断の検査の意味と漢方薬を選ぶための体質検査

  1. 病院の検査は万能ではない
  2. 病院の検査の役割
  3. 漢方薬は病名や症状では選ばない
  4. 漢方薬を選ぶには体質分析が必要
  5. 漢方の問診の分析方法
  6. まとめ

年に1回、会社から、促されて受けている定期検診。

その中の血液検査って、一体、体の何をみているのでしょうか。

「要検査」にひっかかってしまって、再検査を受けてみても、「まーこれくらいなら様子をみましょう」とかになったりして、結局、「何がどうなっていたの?」と、わからないままですよね。

今回は、血液検査って、一体、何をみているのか?

何がわかるのか?を解説し、合わせて漢方の体質を知るための検査とはどんなものなのかを解説していきたいと思います。

病院の検査は万能ではない

病院の検査って、ちょっと万能視されている感じがあり、誤解が多いので、検査の実態をお話しておきたいと思います。

よくある誤解は、「検査をすれば、自分の悩んでいる症状の原因がわかるんじゃないか?」ということ。

これ、現実は血液検査しても、原因はわからないことが多いです。

血液検査に関してわかるのは、意外と少ないのです。

赤血球が少なければ、貧血である。ということだし、白血球が多い場合は、細菌に感染しているか、何かの炎症や腫瘍があるかなどが疑われます。

次に肝臓の状態。

肝臓が炎症を起こしているかどうか、がわかります。

肝炎とか、がんなどに関わってきます。

そして「脂」関係。

中性脂肪とか、LDLなどですね。

脂が血中に多いと、動脈硬化を起こして、将来、血管が狭くなったりして、脳梗塞などを起こしやすくなることが疑われます。

ただし脂が多いから、即、動脈硬化を起こすわけではなく、あくまで、その状態が、長く続いていると、将来に「心筋梗塞につながるかも?」という感じです。

次に糖関連。

血糖値とか、HbA1cなどですね。

糖尿病や膵臓がん、ホルモン異常などが疑われます。

そして、腎臓関連。

腎臓は、体内の毒素になるものを濾過して、捨ててくれますので、腎臓の濾過機能を見ます。

クレアチニンなどの数値がそれらをみています。

尿酸から痛風になりやすいかどうかをみます。

そして、感染症系の検査。

CRPなどは、体内で、炎症が起こっていることを示しますが、体のどこで何が起こっているのかまではわかりません。

他にも、ホルモンや甲状腺機能、膠原病、がんなどを調べる検査がありますが、大きくは、『肝臓の機能』『腎臓の機能」、『糖が多い』とか、『血が少ない』とか『血液の内容』『炎症が起こっているかどうか』などをみています。

検査で異常が出た場合、可能性としてわかる病気は、「肝炎関連」、「腎炎関連」、「膵臓の問題」、「胆嚢の問題」、「貧血」、「糖尿病」、「がん」などです。

いわゆる代表的な病気や、がんなどの大きな病気かどうかの疑いがわかるわけです。

そして、ここからMRIや特別な検査などを使って、がんかどうかなどを調べていきます。

この項目からもお分かりの通り、病院の検査というのは、大きな病気につながる部分を最低限、観察している感じなのです。

ですので、例えば、何年も前から『偏頭痛』が続いているとか、『アトピー』などは、これらの検査結果をみても、原因はわかりません。

もちろん、偏頭痛が、がんと関連していれば、検査によって、判明しますが、大体の検査では、脳腫瘍や脳梗塞でも起こしていない限り、いくら検査しても原因はわかりません。

検査でわかる病気というのは、ある程度、範囲が決まっていて、それほど多くの病気がわかるわけではないのです。

なので、大体の人の悩んでいる慢性的な症状は、原因がわからないことが多いのです。

本来は、病院側が、検査って「代表的な大きな病気かどうかはわかることがあるけれど、大半の原因は検査してもわからないよ」と事前に説明すればよいのですが、まるで、どんな症状の原因も検査でわかるかのような雰囲気を醸し出しているから、「検査でもわからなかった私の偏頭痛は何?」と余計に不安になってしまいます。

ある程度、わかる病気の範囲が決められていて、いろいろな症状の原因がわかるわけではないのであれば、病院の検査を受ける必要ってあるのでしょうか?

病院の検査の役割

これは病院の検査は受けるべきです。

なぜなら、例えば偏頭痛であれば、その原因が「脳梗塞ではない」、「脳腫瘍ではない」ということがわかるからです。

もちろん、これがわかったところで、では、あなたの慢性的な偏頭痛は何が原因なのかはわかりませんが、代表的な大きな病気でなかったことがわかります。

病気の原因というのは、人それぞれ無数にあります。

頭痛なら、軽い風邪から、脳腫瘍まで、その間にも何種類もの原因が考えられますので、「深刻な病気ではなかった」とわかるだけでも、分析の一歩を進んだことになるのですね。

ところが、困るのは、検査で問題がなかったから、「何も問題がない」わけじゃありません。

「深刻で大きな病気ではなかった」とわかったところで、これは単なる振り出しに戻っただけです。

結局、検査をしたけれど、「私の頭痛の原因は何かわからない」という状態。

そして、原因がわからないので、とりあえず一時的に症状を抑える薬を出している。というのが、今の病院の治療の現状です。

その後は、『なんとなく同じ薬で一時的に痛みを抑えておく』ということが続きます。

一時的に症状を抑える薬を出しているだけなので、当然、いつまで経っても治りません。

そこで、登場するのが漢方薬

根本治療をしてくれる救世主のごとく、漢方薬を処方するわけです。

でもここで、大きな問題が発生します。

漢方薬は病名や症状では選ばない

それは、病院での漢方薬の選び方。

漢方薬は体質を分析して、数百種類の中から、最適なものを選びますが、病院では、マニュアルを見て、病名や症状をあてはめて選んでいます。

例えば、『頭痛に五苓散』『めまいに苓桂朮甘湯』『アトピーに十味敗毒湯』などです。

実は漢方薬は、病名や症状から選んでも効果がありません。

漢方薬も体質を診断するために、検査みたいなものをして、体質を診断していきます。

ただ、漢方薬は2千年前からありますので、病院のような機械を使った検査はありません。

問診をしながら、その答えを分析にかけて、判断していきます。

例えば、病院の血液検査なら、血を採って、その血を機械にかけて分析し、「γGPTという酵素が多かったら肝炎じゃないか?」と分析するわけです。

漢方の場合は、患者さんから、「全身の症状の状態」や「生活環境」、「生活リズム」、「ストレスの状態」、「血縁者の病気」、「現在の季節や外気の状態」、「自分の過去の病気」などの情報を集めて、分析するわけです。

めまいという症状の情報がわかったから、じゃあ苓桂朮甘湯で。なんて、小学生でもできそうな分析ではありません。

この分析方法も、2千年前に漢方薬が誕生した時に一緒に誕生しています。

それでは、どんな風に分析するのかを紹介します。

漢方薬を選ぶには体質分析が必要

漢方薬の治療は、病院の薬のように、ある成分が、頭痛などの痛みを一時的に抑えるなどの有効成分は含まれていませんし、そんな効果でもありません。

漢方では、頭痛やめまい、湿疹などは、体の色々ある働きの連携や各臓器の機能が衰えたり、逆に昂ったりして、バランスを崩して、その状態を知らせようとして、頭痛などの症状が出ている。と考えます。

ですので、頭痛を治そうと思ったら、『頭痛を発生させているバランスの崩れが何なのか』を見つける必要があります。

これを見つけるために必要なのが『全身の問診』です。

例えば、頭痛が発生する原因は、大きくは8つの原因があり、さらに細かくみていくと40パターン位の原因にわかれます。

自分に合っている漢方薬を探す検査というのは、まずは、自分の全身の症状などを聞く前に「〇〇の漢方薬が効くんじゃないか」という思い込みを持たないこと。

血液分析をしてくれる機械も、分析する前に「この病気じゃないか?」なんて考えませんよね。

あくまで客観性に徹することが重要です。

そして、『40パターンのどれもがあてはまるのではないか』と思って検査を始めます。

検査は、まずは全身の状態を患者さんに書いてもらうことです。

ちなみにうちの問診では、50項目、250箇所のチェックを行っていきます。

そして、出てきたデータを今度は漢方医が分析していきます。

漢方の問診の分析方法

漢方では、分析するための方法がちゃんと決められています。

分析する方法のことを「弁証」といいます。

分析方法は、次のものがあります。

『気血水弁証』『六病位弁証』『八綱弁証』『五臓六腑弁証』などがあります。

他にも『治法』とか『五行論』などもありますが、日本漢方では、主に4つの弁証を分析に使います。

これらを詳しく解説すると1つだけで1日以上、かかりそうなので、簡単に説明していきます。

気血水弁証
全身の症状から、気、血、水の巡りの偏りがどうなっているかをみていきます。

例えば、水の巡りが、肩から上に偏っていれば、水の巡りを体の下の方に巡らせる五苓散などを使いますが、血の巡りが肩から上に偏っている場合は、五苓散は全く効きません。

水が原因なのか、血が原因なのかというのは、全身の他の症状と組み合わせて、考えて診断していきます。

六病位弁証
現在の病気の位置が、どこにあるのかを分析します。

あまり知られていないですが、漢方薬は病気の時期などによって使い分けます。

例えば、麻黄湯は、慢性病に対して飲み続けるという使い方はしませんし、逆に風邪を治すのに人参湯などの時間がかかる漢方薬は使いません。

現在の病気が三年前からなのか、1ヶ月前からなのかは、とても重要です。

八綱弁証
体力の度合い、体内の熱や冷え、乾燥や湿気の分布などを分析します。

漢方薬は、体力の有無によって使い分けをします。

例えば、麻黄湯は、体力のある人に効果のあるものなので、体力がなく、胃腸の弱い人が飲むと余計に悪くなったりします。

また、アトピーであれば、湿疹の乾燥が強いのか、ジュクジュクで湿気が強いのか、をみていきます。

五臓六腑弁証
漢方的な臓器の状態がどうなのかを分析します。

肝と胆、心と小腸、脾と胃、肺と大腸、腎と膀胱、三焦と、西洋医学の臓器と似ていますが、それとは違う臓器になります。

例えば、肝の臓は、アレルギーに関連するのですが、先ほどの八綱弁証と組み合わせて、湿疹は、肝の臓に不要な熱がこもって、アレルギー反応が高くなって発生しているなどと診断します。

まとめ

「全身の症状の状態」や「生活環境」、「生活リズム」、「ストレスの状態」、「血縁者の病気」、「自分の過去の病気」、「現在の季節や外気の状態」

これが、血液やレントゲン、MRIの結果みたいな感じになります。

これを『気血水弁証』『六病位弁証』『八綱弁証』『五臓六腑弁証』という診断方法に照らし合わせて、分析し、診断結果を導き出します。

最初に病院で検査をして、消去法的に「特に大きな病気がなかった」ということがわかれば、ここからが、原因の分析の始まりです。

僕的には病院の検査と漢方の検査をうまく組み合わせれば、原因がみえてくると考えています。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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