漢方薬相談ブログ

漢方薬相談ブログ

柴胡桂枝乾姜湯の本来の効果と副作用

  1. 柴胡桂枝乾姜湯の効果とは
  2. 柴胡桂枝乾姜湯の効果とは柴胡桂枝乾姜湯の条件に合う体質のこと
  3. 柴胡桂枝湯が合う人の条件
  4. 漢方薬は合わなければ効果がないし副作用にもなる

病院ではツムラの11番としてよく出されている柴胡桂枝乾姜湯。

ネットなどを調べてみると「柴胡桂枝乾姜湯が更年期障害に効く」とか「不眠症に効く」かのように説明されていたりしますが、そもそも、漢方薬は、更年期障害とか不眠症など、何か特定の病名や症状に効くようには、できていません。

そこで、柴胡桂枝乾姜湯は実際は、「どんな効果」があって、「その効果はどんな仕組みなのか?」また「副作用」には、どんなものがあるのかを解説したいと思います。

柴胡桂枝乾姜湯を処方されたけれど、効果がわからない人は、今回の動画をみて本当に自分に合っているのかを確認してみてください。

柴胡桂枝乾姜湯の効果とは

効果には、根拠が必要です。

例えば、不眠症に使われるデエビゴという薬は、 レンボレキサントというものが、体が起きようとする脳の信号であるオレキシンを抑えて眠りに誘います。

何の根拠もなく、「この薬、どう効くかわからないけど、これ飲んでみる?」なんてのは、普通はありえませんし、プロが絶対にやっちゃいけないことです。

しかし、医者などは、漢方薬ではこういったことをやっています。

当たり前ですが、柴胡桂枝乾姜湯の効果にも根拠が必要で、その効果には、 次の4つのものがあります。

1胸脇の熱証を鎮める効果:肝臓の不要な熱を鎮める効果。

2燥証を潤す効果:皮膚の乾燥や乾いた気管支や肺などを潤す効果。

3補虚の効果:気や体力を補う効果。

4気の上衝を降ろす効果:頭に滞った気を体の下の方に降ろす効果。

5熱証による精神症状を調整する効果:熱によって乱れた精神状態を調整する効果。

6脾胃の水毒:胃腸に滞った不要な水を取り去る効果。

7肺の水毒を取り去る効果:肺や気管支に滞った不要な水を取り去る効果。

となります。

さっきのデエビゴのような「レンボレキサントという成分が、脳内に働きかけて眠りやすくしてくれます」みたいな説明をしたいところですが、漢方薬にそのような成分は含まれていません。

『病院の薬』は事前の研究によって、その薬には「どんな効果があって」「その効果にはどんな有効成分が関係しているのか」ということが、わかっていますので、薬の効果や成分の説明ができますが、漢方薬には、西洋医学的な効果や成分は存在しません。

また、柴胡桂枝乾姜湯に眠らせるための直接的な働きやホットフラッシュを治す成分はありません。

そもそも漢方と西洋医学とは何の関係もなく『治療や薬の効果の考え方自体』が根本から違うのです。

ですので、漢方薬の効果は、西洋医学と同じように考えても意味がありません。

先ほどの7つの効果が合わさって、体全体のバランスが取れるようになると、そういった体の状態の人であれば、更年期障害も不眠症も治ります。

なぜ、体全体のバランスが取れるようになると、更年期障害や不眠症が治るのか?

それは、ホットフラッシュや多汗などの症状は、体の中のシステムがうまくいかなくなったことを知らせるための警告サインの役割なので、体全体を調整すれば、そのシステムがうまく働くようになり、警告サインである症状を発生させる必要がなくなるからです。

病院の薬は、警告サインにすぎない症状自体を直接、強制的に抑えようとしますが、漢方薬は、症状自体ではなく、症状の原因を治すのですね。

そして、柴胡桂枝乾姜湯の7つの効果というのは、「7つのパターンで体の調子が崩れている人を治す」という効果になります。

更年期障害のホットフラッシュや不眠症の原因になっている、『体の調子が崩れているパターン』を見つけ出して、それに対応した漢方薬で調整すれば、ホットフラッシュや不眠症はなくなります。

ここで本当に注意しないといけないのは、同じホットフラッシュの人でも、『体全体の調子が崩れているパターン』は、人それぞれですので、「ホットフラッシュ」だけで、柴胡桂枝乾姜湯を選んでも効果はありません。

なぜなら、漢方薬が治すのは、『体全体の状態に対して』だからです。

ネットにある漢方薬の説明や医者が処方する時に「更年期障害」や「ホットフラッシュ」、「不眠症」という病名や症状だけで漢方薬を処方しているのは、何の根拠もないことになります。

「効くかどうか、よくわからないけど、マニュアルに書いてあるからこれでいっか!」という感じなっているのですね。

つまり、『柴胡桂枝乾姜湯が治せる7つの体の条件が合う人』は、柴胡桂枝乾姜湯を飲めば効果があります。

逆に柴胡桂枝乾姜湯が治せる7つの体の条件と合わなければ、効果は全くありません。

つまり、『柴胡桂枝乾姜湯の条件が合う体質の人=柴胡桂枝乾姜湯の効果』となります。

なので、ホットフラッシュとか不眠症という病名や症状は、漢方薬とは何の関係もなおのですね。

ホットフラッシュ以前に柴胡桂枝乾姜湯が治せる条件と合わなければ、飲んでも何も効果がないのです。

結局、病名や症状ではなく、体質を分析して、漢方薬を合わさないと、その漢方薬は効果を発揮しない!ということです。

柴胡桂枝乾姜湯の効果とは柴胡桂枝乾姜湯の条件に合う体質のこと

柴胡桂枝乾姜湯の7つの効果は、そのまま、あなたの体の状態が、そうであるかどうかという意味でもあります。

1肝臓に不要な熱がこもってホットフラッシュや不眠症が発生している状態。

1肝臓の不要な熱を鎮め、ホットフラッシュをなくす効果。

2体が乾燥して、皮膚の乾燥や乾いた咳などが発生している状態

2皮膚や気管支、肺の乾燥を潤し、乾燥性の湿疹や乾いた咳などをなくす。

という感じで、画面を停止して参照してみてください。

3気や体力が減って弱っている状態。

3気や体力を補う効果。

4頭に気が滞り、のぼせや頭痛が発生している状態。

4頭に滞った気を体の下方に降ろし、頭の汗や頭痛を治す効果。

5熱の影響で、精神状態が乱れ不眠症などが発生している状態。

5冷やす効果によって神経を沈静化させ不眠症や神経症を治す効果。

6胃腸に不要な水が滞り、胃もたれや軟便などが発生している状態。

6胃腸に滞った不要な水を取り去って胃を強化し軟便を治す効果。

7肺や気管支に不要な水が滞り、痰や咳が発生している状態。

7肺や気管支に滞った不要な水を取り去り痰と取り除き咳をなくす効果。

そして、7つの体の状態が合わさって、それが原因でホットフラッシュや不眠症、自律神経失調症などが起こっていることになります。

漢方では、何か1つの原因でホットフラッシュなどが発生していると考えません。

体全体を分析して、特定のタイプを見つけ出し、体全体を整えることによって、ホットフラッシュなどの症状がなくなっていきます。

つまり、『7つの体の状態は、更年期障害や不眠症を起こしている原因』ということになり、同じ更年期障害や不眠症でも、体がこの7つの状態でない場合は、柴胡桂枝乾姜湯が治せる原因ではないことになります。

体がこの状態でない時は、他にも更年期障害や不眠症に使う漢方薬は30種類ありますので、他の条件に照らし合わせていく必要があるのですね。

漢方薬は、漢方薬ごとに治せる体の状態の条件が示されているので、柴胡桂枝乾姜湯の7つの条件が原因で眠れないのであれば、柴胡桂枝乾姜湯を飲めば効果があります。

漢方薬は『柴胡桂枝乾姜湯の条件が合う体質の人=柴胡桂枝乾姜湯の効果』となるので、全身の体の状態を分析せずに、漢方薬を合わせるのは不可能です。

つまり、ネットの解説や医者の選び方は、デタラメなのです。

条件はまだありますので、更に柴胡桂枝乾姜湯が合う人の条件を詳しく解説します。

柴胡桂枝湯が合う人の条件

僕が実践している日本漢方では、先ほどの条件以外にも他の色々な条件があります。

これらが全てあてはまって、はじめて、『柴胡桂枝乾姜湯を飲めば効果がある』という状態になります。

なので、ややこしい話には、なりますが、柴胡桂枝乾姜湯の本当の効果を知りたい場合、『自分の体全体が柴胡桂枝湯のすべての条件に合うかどうか』を考えれば、効果を知ることができます。

柴胡桂枝乾姜湯が合う体質の条件とは…

【病位】少陽病。
【虚実】虚証。
【脈侯】弱・浮細・浮数・沈弦細
【舌侯】乾燥あるいは湿潤。無苔あるいは微白苔。
【腹侯】腹力やや軟、心下部の抵抗、膨満、上腹部に浸水音。
【証】1胸脇の熱証を鎮める効果。2燥証を潤す効果。3補虚の効果。4気の上衝を降ろす効果。5熱証による精神症状を調整する効果。6脾胃の水毒を取り去る効果。7肺の水毒を取り去る効果

これが、柴胡桂枝乾姜湯が合う人の体の状態を示しています。

【証】というのが、冒頭で説明した17の柴胡桂枝乾姜湯の効果でもあり、体がその状態でもあります。

【病位】とは、病気が発生してからどれくらいの時間が経過しているかの時間軸を示しています。

極端に言えば、風邪で使う漢方薬は、何ヶ月も前から患ってる病気では使いません。

柴胡桂枝乾姜湯は、少陽病なので、病気が急性から、慢性化しつつある人から、慢性化している人に合うことを示しています。

【虚実】というのは、どれくらいの体力があるのかを示しています。

漢方薬は、飲む人の体力と漢方薬の強さを合わせる必要があります。

例えば、インフルエンザに効く漢方薬だと勘違いされている麻黄湯ですが、非常に薬性が強いため、胃腸が弱く、体力のない華奢な人には合いません。

体の弱い人が麻黄湯などの強い漢方薬を飲むと胃痛を起こし、余計に悪くなります。

逆に体力のある人が、弱い薬性のものを飲むと、薬性が弱くて効かないこともありますので、自分がどのくらいの強さの薬性が飲めるのかを知る必要があります。

柴胡桂枝乾姜湯は、虚証となっていますので、体の弱い人で更年期障害や不眠症などがある人に合うものです。

【舌侯】は舌の状態をみます。

舌の状態から、体に不要な熱がこもっているとか、水の滞りが多すぎるなどがわかります。

柴胡桂枝乾姜湯は、ベチャッとしている場合もあれば、乾燥している場合もある人に合うとされています。

【腹侯】はお腹の状態から体の状態をみます。

柴胡桂枝乾姜湯は、お腹が軟らかく、鳩尾が詰まって、胃がポチャポチャと鳴る人に合うとされています。

そして、【証】は、冒頭で説明した柴胡桂枝乾姜湯の7つの効果のことで、同時に柴胡桂枝乾姜湯が治せる体全体の状態のことを示しています。

柴胡桂枝乾姜湯が合うかどうか、つまり効果を発揮するかどうかは、自分自身の体が、このような条件にあてはまっているか?を全部チェックする必要があります。

漢方薬は、ある特定のパターンの体の状態に対して合うか合わないかを考えます。

どんな病気に使うのか、それが、どんな効果なのかを考えるのは、全く意味がありません。

柴胡桂枝乾姜湯の条件に合う状態で、なおかつホットフラッシュや不眠症がある場合は、柴胡桂枝乾姜湯で治りますが、柴胡桂枝乾姜湯に女性ホルモンの成分や眠らせる成分はないため、柴胡桂枝乾姜湯の条件に合わない体の状態であれば、何も効果がありません。

柴胡桂枝乾姜湯に限らず、漢方薬の副作用は、特定の決まった症状が発生するわけではなく、自分の体質と柴胡桂枝乾姜湯の効果が合っていなければ発生します。

例えば、ホットフラッシュがあっても、全身の冷えが強い場合は、柴胡桂枝乾姜湯は、冷やす性質もあるので、余計に体が冷えたりします。

これは、冷えている人が飲んだ場合は、冷やす効果が余計悪い方に働くという感じになります。

漢方薬は、自分の体質と合わなければ副作用を起こしますので、医者のように更年期障害に柴胡桂枝乾姜湯と、体質を分析せずに選ぶ場合は、副作用が起こる可能性はかなり高くなります。

漢方薬は合わなければ効果がないし副作用にもなる

漢方薬は、病院の薬とは全く違うものです。

病院の薬の場合は、ある成分が強制的に症状を一定時間だけ抑えるようになっています。

これを「効果」と呼んでいます。

漢方薬の場合は、漢方薬の条件に示されている体の状態を治すようにできています。

ですので、漢方薬の効果とは、その漢方薬に設定された『体全体の条件』ということになります。

これを体質とか病気の原因と呼んでいます。

ネットや医者の使っているマニュアルの効能効果に書いてある病名や症状だけを見ると似たような病名や症状が書いてある漢方薬は、いくらでもありますので、実際は、病名や症状だけで自分に合った漢方薬を選ぶのは不可能です。

そして効果が高いかどうかよりも『自分の体質に合っている確率が高いかどうか?』が重要です。

漢方薬は症状を抑えるものではないので、『漢方薬が合っているかどうか?』を知るためには体質、つまり(証)を判断していないと、合っているかどうかさえ確認できないので、東洋医学的な体質を分析、判断しないで、効果があるかどうかは確認できません。

また、あなたの体質と漢方薬が合ってない場合は、副作用となり、病気はよりひどくなる可能性もあります。

●ホットフラッシュや不眠症などで、お悩みの方は、こちらの「漢方無料相談」から送信してください。

●お問い合わせは、こちらから送信してください。

●店頭相談のご予約は、こちらから、ご予約ください。(店頭も初回の相談は無料です)

日本全国オンライン相談受付中!

※全国(北海道、青森、岩手、仙台、東京都内、群馬、横浜、富山、福井、滋賀、名古屋、京都、奈良、大阪、兵庫、岡山、福岡、大分、鹿児島など)からネット、メール、電話、LINEやメッセンジャーなどのテレビ電話などのオンライン相談を受付中です!

【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方処方応用の実際:南山堂
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠⅡⅢ:薬局新聞社刊
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

著者の詳細情報はこちら

FacebookTwitterInstagram